職場にいる若い女性職員さん。
「“すみません”って、すぐに言わないほうがいいです」
以前、私にそう言っていました。6月に入ったばかりの新人さんにも言っていました。 一見、自信がありそうにも見えるその態度。でも、私は長く職場で彼女と接してきて、だんだんと気づいたことがあります。
実はその「謝らない」姿勢の奥には、もっと繊細で、複雑な感情が隠れているのかもしれません。
「すみません」を言わない心理、その奥にあるもの
あくまで私の個人的な観察と、ChatGPTとの対話を通じて
見えてきたものですが、彼女の行動は
大きく3つの心理に分けて考えることができそうです。
① 自己防衛――弱みを見せたくない気持ち
「すぐ謝る=自分の非を認めたことになる」と、
無意識に感じているようなタイプ。
謝ることで立場が下になることを避けたい、
そんな防衛反応です。
もしかすると、彼女の中には
「相手に主導権を渡したくない」という
気持ちがあるのかもしれません。
「自分の価値を守りたい」という、
内に秘めた不安が背景にあるように思えます。
② 承認欲求――優位でいたい気持ち
彼女は人と比べることに敏感で、
どこか「私は他の人より上でいたい」
という意識が垣間見えます。
たとえば、前回の記事で書いた
新しく入ったパートさんを褒めるという場面。
その褒め言葉の裏に、
「その人を褒めている私のほうが、
もっとよく知っている」
「私はその人より上にいる」というような、
微妙な力関係の主張があるような気がします。
③ 成育歴――育った環境の影響
これは本人の責任ではありませんが、
家庭や前職の影響も見逃せません。
たとえば、彼女の前の職場は
「出世のためなら、蹴落としてでも上がっていく」
というような同僚にかこまれていたそうです。
そこでは謝ることが“弱み”として
扱われたのかもしれません。
謝らないこと=自分を守る手段。
彼女にとっては、それが生き残るための
知恵だった可能性もあるのです。
謝ることで、自分の優位性が
揺らぐのが怖いのかもしれません。
見えない「鎧」と、見せない「素顔」
彼女を見ていて思うのは、
決して「悪い子」ではないということ。
丁寧に接してくれるし、
私にもある程度の気遣いはしてくれる。
でも、どこか心のぬくもりが
感じられないのです。
彼女は、今も“鎧”を
纏っているのでしょうか?
上司との間を器用に立ち回り、信頼も得ている。
けれど、どこかで「自分の素を出すのは怖い」
と思っているのかもしれません。
凛として、仕事をする
彼女は、前職で経験した辛さを教訓にして
今の職場では、うまくやっていきたいと
私に話してくれたことがあります。
彼女は凛として仕事をする姿が好きなようです。
だから、私にも
「すぐに、すみませんって言わなくていいです」
と、指南してくれるのです。
本当のあたたかさ
働く場では、自分の弱さや未熟さを
見せてしまうこともあります。
それを恐れる必要はないと思うのですが。
「すぐに、すみませんと言わなくていい」という
彼女の姿勢に同調と戸惑いを感じながらも、
私は思います。
いつか彼女の“本当のあたたかさ”が
出せる日が来ると良いなと思います。
職場でも、“本当のあたたかさ”に
出会えたらいいなと願っています。