金曜日の夜。定食屋を出て、バスを待っていた時のことです。
ふと視線を上げると、夜の街の灯りの中に、大きなクレーン車のブーム(クレーンの腕の部分)がゆっくりと動いていました。
夜の7時過ぎ。住宅街であれば、騒音で工事はできない時間です。
でも、この場所は商業ビルが立ち並び、車の通行がとても多いところです。
工事の音はかき消され、車体から切り離されたかのように、ブームだけがゆっくり動いています
その光景は、夜の繁華街に突如現れた幻想的な舞台のようで、私は思わず「風の谷のナウシカ」のワンシーンを思い出しました。
クレーン車のブームが、まるで異世界の巨神兵のように見えたのです。
地球規模での気候変動の深刻化している現代。
観測史上最高を示したこの夏の気温。
今は発展に向けて建てられているビル群も、何世紀か後は、旧世界の技術による人工建築物になって、未来の民に重荷を背負わされているかも知れないと。
目の前に映る街角が非日常の舞台に変わっていました。人々はただの工事現場として通り過ぎていくけれど、私の目には物語の一場面のように映りました。
金曜の夜のリセットは、こんなふうに思いがけないところで心を遊ばせてくれます。
「非日常」は、すぐそばに潜んでいて、それを探すのも楽しいものです。
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