ドアを閉めるかどうかは、自覚次第

仕事と私

私の座っている場所は、患者さんが会計や入院手続きを待つスペースの奥にあります。
ちょうどドアを挟んで対面になっているので、職員が出入りするときにドアをきちんと閉めないと、患者さんからこちらの様子が丸見えになってしまいます。

そこで、ドアの内側に「ドアを開けたら閉めてください」と張り紙をしてあるのですが……残念ながら徹底はされていません。
パタパタと職員が出入りするたびに、患者さんの視線の先に私たちがいるのです。

本人の意識の問題!

そんなある日、若い職員さんたちが「どうやったら徹底できるだろう?」と真剣に対策を考えていました。
その時に、私の上司が口にした言葉が、とても印象に残りました。

「ドアを閉めるか閉めないかは、本人の意識の問題!」

確かに、その通りだと思いました。
注意書きやルールがあっても、それを守るかどうかは結局その人の意識次第。

窓口はとても忙しい業務です。ドアをきちんと閉めるところまで、気が回らないのもわかります。意識していないと、つい疎かになってしまうのかもしれません。

そして、「ドアを閉める」という行動は本当に小さなことですが、意識ひとつで大きく変わるものだと感じる出来事がありました。

張り紙で対策

若い職員さんたちは、まず、新しくA4サイズのコピー用紙に注意書きを書いて、しっかりラミネート。「これなら目立つはず!」と意気込んでいました。

さらに工夫は続きます。
テプラでも注意書きを作成し、一番幅の広いテープを選んで、色はもちろん目立つ黄色。
「これなら絶対見逃さないでしょ!」と、ドアの側面に貼るための物も作っていました。

どの位置に貼ったらよいか?行き来する職員さんに聴きながら、ああでもこうでもない・・・・。
その間、何人もの職員さんが「あ、すみません」と言いながら通っていきました。

貼り終わって、みんなで若い職員さんの労を労いました。
「ありがとう。これでドアを閉めてくれるよ~」
「それでも閉めない人は閉めないんですよね〜」

その効果は?

その日を境に、ドアを閉めてくるようになりました。
張り紙が功を奏したのでしょうか?

もちろん、それもあります。
でも、私は密かに思っています。

若い職員さんが一生懸命に張り紙を貼っている姿を、通りながら目の当たりした職員さんは、心に焼き付いたのだと思います。

今まで貼られていた注意書きは古くなり、見た目にも色褪せていましたが、職員さんの視野にも映らなくなっていたのでしょう。
ドアを閉める重要性も消えかかっていたのだと思います。

そういうところに、若い職員さんたちが一生懸命、注意書きを貼っている。
それを見て、
「ドアを閉めなければいけない」という意識が起こったのだと思います。
「自分の意識の問題」として受け止めてくれたのだと、私は思っています。

終わりに

若い職員さんたちの姿が、ただの注意喚起ではなく「心へのメッセージ」になったのかもしれません。注意書きやポスターよりも効果が表れた出来事でした。

誰かの真剣な姿勢が周囲に伝わっていく。
若い清々しいエネルギーに、感動をもらった気がします。

そして改めて思います。
結局、ドアを閉めるかどうかは「自覚次第」。
その小さな意識の積み重ねが、職場の雰囲気をつくっていくのだと感じました。

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