戦争の記憶と沈黙|知覧特攻平和会館を訪れた父の想い

終戦記念日

お盆が終わりました。
8月15日を迎えると、どこか胸の奥が少し重くなります。
お盆と重なるこの日は、言わずと知れた日本の終戦記念日です。
平和を願う日であると同時に、戦争を経験した人々の心の奥に刻まれた、
消えることのない記憶が浮かび上がる日でもあります。

20数年前のことです。
弟夫婦が、両親を特攻平和会館に連れて行ったことがありました。
父も母も戦争を経験しているから、きっと感動してくれるだろう——弟はそう思っていたそうです。

けれど、会館の中で、父も母もほとんど言葉を発しませんでした。
展示された写真や手紙、若い特攻隊員たちの笑顔の写真を前に、
二人はただ静かに歩き、目で追い、ずっと黙っていたそうです。

会館を出た後、父はこう言ったそうです。

「俺は生き残って申し訳ない気がする…」

その時、戦後50年が経っていたと思います。
それでも、父の中にはずっと、その思いが消えずに残っていたのです。
戦争は、時間がどれだけ過ぎても癒えることのない傷を、人の心に深く残します。

お盆は、先祖を迎え、静かに手を合わせる日。
終戦記念日は、二度と同じ悲しみを繰り返さないことを誓う日。
この二つが重なる8月15日は、私にとって特別な意味を持っています。

今年もまた、平和であることの尊さを思いながら、
静かに手を合わせました。

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