今日、仕事帰りに晩ご飯の食材を買って、小さくて狭い交差点に差し掛かった時のことです。
歩行者信号が赤になったので、ゆっくりと立ち止まりました。
そして、右手の角から、ひょいと年配の男性が現れました。
私は「人が曲がってきた」くらいの感じでいました。
よく通る道なので、特に驚きはしませんでしたが
その年配の男性と目が合いました。
すると、その男性がおもむろに
「あ、ごめんねぇ。私が悪かったねぇ」と、謝られたのです。
「あ、いえいえ、大丈夫ですよ」と、私は慌てて、言葉を返しました。
一瞬のことで、なんで謝られたのかはわかりませんでしたが、
その男性は、自分がヒョッコリ出てきて、私を驚かせたと思われたのかもしれません。
ぶつかったわけでもないのに、瞬時にお詫びをすることができるなんて、きっと普段から、こういう気配りができる人なのでしょう。
私は、温かい気持ちになりました。
それは、この男性の言葉が、とても柔らかく感じたからです。
ぶつかりそうになって、「すみません」と言うことは、私にもできます。それは、礼儀として謝っているからです。もちろん申し訳なかったという気持ちもあります。
でも、この男性のように、相手を温かい気持ちにしてあげられる自信はありません。
人格というものは、こういう時に表れるものなのでしょう。
恰好を付けるわけでもなく、奇をてらったわけでもなく。
自然と顔を出す。
殺伐として、ただ行き交うだけの交差点でも、こんな温かさに触れることがあるのですね。