れんげ草が消えた田んぼと、春の記憶

考えてしまうこと

“消えたお米”についてブログに書いたばかりですが、
そこからふと、春の田んぼを思い出しました。

一面に広がる、あのうす紅色の花。
かつては、田んぼの風景として
当たり前にあったれんげ草。
でも今は、その姿をあまり見かけなくなりました。

れんげ草が咲かなくなった理由には、背景があります。

れんげ草は「緑肥」なんです

れんげ草って、自然に生えてくるもんだ
とばかり思っていました。
ずいぶん、大人になってから、
母に聞いて知ったのですが、
秋にちゃんと種を撒くのだそうです。

春にふんわり咲くあの景色は、
父と母が種を撒いて、咲かせていたんですね・・・・。

それだけじゃなく、
れんげ草は「緑肥」といって、
土の中に空気のチカラを取り込んで、
田んぼを元気にしてくれるんだとか。

ただの花だと思ってたけど、
れんげ草は、稲にとって役にたつ植物だったんですね。

なぜ、れんげ草は姿を消したのか?

でも、いつの間にか、田んぼ一面の
れんげ草を見かけることが
少なくなりました。

春になるとテレビで
「今、れんげ草が満開です!」
なんて放送するくらいですから。

なぜ、れんげ草の
種を撒かなくなったのでしょう?

それは、化学肥料が主流になったからだそうです。

れんげ草を育てるには、秋に種をまいたり、
鋤込んだり、手間もお金もかかります。

一方、化学肥料は手軽で安くて、すぐに効果が出る。
便利さに押されて、
れんげ草は静かに姿を消していったんですね。

懐かしい風景が、効率の波に飲まれていく

今でも、緑肥として、
れんげ草を植える田んぼも
あると思います。

それ以外の理由として
見せるためもありますよね。

見栄えがいいれんげ草の絨毯は、
観光のためだったり、
写真を撮ってもらうためだったり。

少し寂しいですが、
それでも、
れんげ草が田んぼに咲く花として
残っていてくれるのは嬉しいです。

兄が編んでくれた”れんげ草の花冠″

今は亡き兄・・・

私が中学生の時、兄は社会人。
田んぼ一面のれんげ草の中で
花冠を編んでくれました。
6歳も離れていたけれど、
れんげ草と同じ高さで、二人しゃがみこんで
笑っていました。

れんげ草で編みあげた花冠を
「ほら」っと言って
私の頭に載せてくれました。
兄は少し照れながら、微笑んでいました。

あの春はもう遠いけれど、
れんげ草を見ると、私はいつも、
あの日の兄の笑顔を思い出します。

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