ハンカチを選ぶ時間に込められた心

日々の小さな幸せ

退職する時、何人かの方から
ハンカチをいただいた。

そういえば、ハンカチを人に贈るのは、
「別れ」の意味があると聞いたことがある。

たしかに、“手巾(てぎれ)”という言葉から、
縁を切ることを連想するらしい。

でも、今はそこまで気にする人は、
少ないのかもしれない。

そもそも、その意味を知らない人の方が
多いような気がする。

私自身、そのことを知った後でも
人にハンカチをプレゼントしている。

そして実際、
ハンカチをもらうと嬉しい。
毎日使うものだから、何枚あっても困らない。

落ち着いた色を選ぶ人もいれば、
かわいらしい花柄を選ぶ人もいる。

「この色、あの人に似合いそう」
「こんなの好きそうだな」

そんなふうに、
私のことを思い浮かべながら
選んでくれたのかなと思うと、
温かい気持ちになる。

プレゼントをもらうと、
送り主が探し回った時間、
迷いながら選んだ心が伝わってくる。

引き出しを開けて
今日の一枚を選ぶ時、
その人の笑顔。その時の会話。

「今まで、ありがとう」
「この緑のモチーフ、あなたに似合うと思って」
「私と色違いなんです」
「たまには、こういう色もいいでしょ?」

と言われて、手渡されたシーンが浮かんでくる。

“手巾(てぎれ)”どころか、
そこを離れた今でも、
その日一日を寄り添ってくれる
友人に変わりはない。

その日によって、選ぶハンカチは、
今日のラッキーアイテムにもなる。

お気に入りのアクセサリーや
大切な商談の時のネクタイのように。

私は、
いつも励ましてくれた友人からのハンカチは、
心細い時に、必ず持って出かけた。

小さな一枚の布なのに、
その人の気持ちまで一緒に
折りたたまれている気がするから。

人は、心細い時や、頑張りたい日に、
自分なりの“お守り”のようなものを
持ちたくなる。

だから、
その日の気分で選ぶラッキーアイテムは、
不思議と気持ちを落ち着かせてくれたり、
少し心を強くしてくれたりする。

今日も引き出しを開けて、
「さあ、どれを持って行こうかなぁ」と
一枚のハンカチを選ぶ。

💻前回の記事はこちら👇

GW明け、次の祝日は2カ月半後
GW明け、次の祝日を数えながら働いていた頃を思い出す。小さな楽しみや有給休暇を支えに、気持ちを切り替えながら働いていた日々を綴るエッセイ。

タイトルとURLをコピーしました